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シロアリ被害を乗り越え空き家を地域利用に

セネガルと日本を繋ぐ居場所づくり

空き家活用の最大のハードルといえるのが「お金」です。限られた予算や補助金でいかにリフォームなどを行うべきか。そして空き家といえば「シロアリ問題」も。

課題を乗り越え、2021年2月に神戸市の空き家に事務所を開いたのが、一般社団法人Bokk Jambaar(ボック ジャンバール)です。※2023年7月をもって事務所は閉鎖されました。

青年海外協力隊として、西アフリカのセネガル共和国でボランティア活動に従事したメンバーで設立しました。2年間の任期で得た経験や人脈を活かし、現地での課題解決に向けた取り組みを実施するとともに、途上国問題や国際協力について理解を深めてもらう活動を行っています。神戸市内を中心とした様々なイベントに出展し、多くの活動実績を残しているこちらの団体。代表のオンバダ香織さんとスタッフの守屋さんに空き家活用の経緯を伺いました。


契約が決まった後にシロアリを発見!

元々大阪の自宅を活動拠点にしていたオンバダさん。事務所を作りたいと、国際交流が盛んな神戸市の「すまいるネット」で探すことにしました。

1軒目は内見直前で耐震に問題があることが分かり破談。2軒目として紹介されたのが、現在の事務所として使っている兵庫区矢部町の空き家でした。

「セネガルのように人とのつながりを感じられる場所を作りたいと思っていたので、中心街から少し離れた一軒家での地域交流も目指して契約する事にしました」

契約したのは2020年1月。当時、神戸市より提示された補助金は50万円でした。団体の予算が厳しいことから、スタッフの守屋さんが個人的に参加したDIYイベントで繋がりが出来た建築士さんの協力を得て、出来ることは自分たちでやる「DIT(Do It Together)」のスタイルでリフォームを行うことに。

ところが、工事を開始しようとした矢先に大きな問題が…。

「シロアリです。内見では全く分かりませんでした。補助金を貰うためには年度末の3月までに工事を終えないといけなかったのですが、シロアリ駆除までするとなったらとても間に合いません。あの時は本当に困りました……」

そこで、神戸市と相談のうえ次年度に申請をし直すことにしたのです。


大家さん、建築士さんのご協力のおかげです!

それが結果的に良かったのは、次年度から補助金が倍の100万円になったことです。しかしシロアリの被害は予想以上で、かなり大掛かりな改修工事と駆除を行わなければならなくなりました。そこで力になってくれたのが、建物の所有者である大家さんでした。

「電化製品などまだ使えるものは使って良いよとおっしゃっていただきました。不要なものは神戸市の補助金を活用して廃棄してくれたり、補助金で賄えない部分の改修工事をしてくださいました。ご近所の方とのコミュニケーションについてもアドバイスして下さったり、とて も理解のある大家さんだったのですが、シロアリ駆除についても費用を負担してくれることになって……本当に助かりましたね」

さらにスタッフがリフォームに詳しいことも大きかったと振り返る。

「守屋さんは、以前から空き家やDIYに関心があって、建築士さんをはじめとするDITに理解のある人々との繋がりを団体のために作ってくれていたのです。そうしたネットワークがあったからこそ、スムーズに行ったのだと思います」

限りある補助金を有効に活用するためにコスト削減する一方で、六甲山の間伐材を購入し、床材に使いました。これも、間伐材の活用や林業の人材不足問題などに取り組む方と建築士さんを通じて繋がることが出来たからです。

神戸に事務所を構える以上は、環境にも優しい事務所にしたいという思いがありました。


活動の原点、DIT(Do It Together)

古民家の良さを活かそうと『土間』を作ることにした時は、作業の参加者を募りました。

「私たちのアフリカでの活動も基本的にDIT。地域の方々の協力がなければ成り立ちません。皆さん、色んな思いを持って参加して下さいます。その思いを形にし、みんなで活用出来るようにするのが私たちの役目です。ご近所の方が、“いままで空き家かと思っていたけど、使う人が来て良かった”とおっしゃって下さいました。空き家の活用が地域の方々の安心につながり、気軽に集えるような場となればいいなと思います」

最後に、これから空き家活用をしたい人へアドバイスをお聞きしました。

「不測の事態は必ず起きます。金銭的な面も、スケジュールも余裕を見ておいた方が安心できますね。それと、DIYイベントなどに参加し、空き家に詳しい方との繋がりを作っておくのも良いと思います」

~所有者の声~

気に入ってもらえて良かった
建物は取り壊すつもりでいました。でも、家の雰囲気を気に入って使っていただける方に出会えたことで、生まれ育ったこの家をそのまま残せるので良かったなと思っています。
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